遺言書の基礎知識〜「相続」と「遺贈」の違い〜
遺言書の作成例を見ると、「〜に相続させる」と書いている場合と
「〜に遺贈する」と書いている場合があると思います。
どちらも、死亡した後財産を誰かに譲る、という意味では同じなのですが、
どちらの表現を用いるかで法的な性質が異なります。
また、最悪の場合には、せっかく用意した遺言書が無効になる恐れがあります。
遺言書を書く際には「相続」と「遺贈」の法的な意味をきちんと理解して
適切な表現を使ってください。
●「相続させる」と「遺贈」の法的な意味
「相続」とは、人が亡くなることによって、特定の関係を有する者に対し、
財産や権利が移転することを言います。
特定の関係を有する者とは、法律に規定される相続人(法定相続人)のことを言います。
つまり、「相続させる」という表現は、法定相続人に対してのみ使用することができます。
一方で、「遺贈」とは、遺言によって財産を無償で譲り渡すことを言います。
「相続」とは異なり、「遺贈」は誰に対しても行うことができます。
●「相続」と「遺贈」の効果の違い
それでは、法定相続人に対しては、「相続」と「遺贈」のどちらを使っても問題ないのでしょうか?
実は、「相続」と「遺贈」では法律的に保護される内容が異なり、「相続」の方が
圧倒的に有利になります。
ですので、法定相続人に対しては、原則「相続」という表現を用いてください。
①不動産登記について
「相続させる」の場合は、指定を受けた相続人が単独で、所有権移転の登記申請をすることができるため、手続きが簡単かつスピーディーにできます。
一方、「遺贈」の場合は、他の法定相続人と共同で行わなければならないため、
時間がかかり、なおかつ、紛争が発生するリスクが高まります。
また、「相続」の場合は、債権者に対しても、登記なく自分の権利の主張が可能です。
②農地取得について
農地を取得する際に、「遺贈」の場合は、農地委員会に請求し、許可を受ける必要があります。
一方で、「相続」であれば、許可を受けることなく取得することができます。
③賃借権について
「遺贈」により、賃借権を受け継ぐ場合、賃貸人の承諾が必要となりますが、
「相続」の場合、賃貸人の承諾は不要になります
まとめ
以上のように、相続人にとって「相続」の方が有利になります。
遺言書は表現がかなり厳格に規定されていますので、
少しでも迷った時は行政書士、司法書士、弁護士等の専門家にご相談することをオススメします。
Value行政書士事務所でも、無料相談を承っていますので、お気軽にご連絡ください。
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