民法改正のお話 第1回〜約款規定について〜
みなさんこんにちは。
本日のテーマは民法改正です。
事業者様や消費者にとって、密接に関わる問題ですので、
是非みていただきたいです。
民法の改正って?
そもそも民法とは
、私人間の法律関係を規定している法律です。
詳しく分けると、
「総則」、「物権」、「債権」、「親族」、「相続」
の5編で構成されていますが、その中でも今回改正されるのは、
「総則」と「債権」です。
債権法分野では、120年ぶりの大幅改正となり、「平成の大改正」とも言われています。
120年前に規定された民法が、時代にそぐわなくなってきた部分もありますので、今回改正が行われます。
そして、気になる改正された新しい民法が適用される時期ですが、
2020年4月1日です。
実はあと1年後に迫っているのです。
今回のテーマ: 「定型約款」規定の新設について
①現行の約款の意義と問題
現代のビジネスでは、
電車や、引越し、保険、クレジットカード、預金等様々な場面で約款が利用されています。
そもそも約款とは、事業者側が事前に画一的に定めた契約条項を、消費者側がサインすることで法的拘束力を発生させる契約手段です。
約款は、事業者の立場から見ると、不特定多数の消費者と行う取引場面で、
消費者と契約合意を効率よく行えるので、非常に都合の良い手段です。
しかし、消費者の視点から見ると、いちいち条項を確認しながら、
合意内容を精査していることはほぼありません。
約款があるだけで、
消費者にとって不利な契約内容に知らないうちに、拘束される危険性が
問題視され、今回の「定型約款」規定の新設に繋がりました。
②新設される「定型約款」とは
これまで、約款について明確なルールがなかったのですが、
今回、定型約款という概念を定義したことで、
規定が定型約款に該当し、なおかつ一定の手続きを踏んだ場合には、
その規定の効果が法的に根拠づけられることになりました。
「定款約款」への対応のポイント
【1】定型約款を契約の内容とすることを明確に表示すること
約款に拘束力を発生させるには、以下のいずれかの条件を満たすことが必要です。
ア.定型約款を契約内容とする旨の合意をすること
イ.定型約款を準備した者が予めその定型約款を契約内容とする旨を相手方に表示していたこと
つまり、契約書に定款の内容を直接記載する、もしくは、「本取引には・・・約款を適用する」等の文言お加え間接的に記載することが必要になります。
【2】顧客の利益を害する条項を排除すること
原則的には、【1】を満たしていた場合、定款約款の内容に合意したものとみなされます。
しかし、顧客の利益を害する条項が含まれていた場合、その不当な条項を合意内容から排除する規制がなされています。
また、定款約款に含まれていることが顧客から通常予見し得ない場合も、合意内容から排除されることが定められています。
今運用している約款が、通常の民法の規定や商慣習と比較して、
顧客に著しく不利な内容が含まれていないか、一度確認してみてください。
【3】定款約款の変更に関するルールを明記すること
定型約款も、時代の変化や事業者側の事情の変化で、内容を変更する必要性に迫られる場合があります。
しかし、事業者側が一方的に無制限で変更されてしまうと、
顧客にとって不利になる可能性があります。
そこで、改正後の民法には、定型約款の変更について制限が設けられています。
具体的には、
"ア変更が相手方の一般の利益に適合するとき、
イ.変更が契約の目的に反せず、かつ、変更の必要性、変更後の内容の相当性、約款の変更をすることがある旨の定めの有無、その内容その他変更に係る事情に照らして合理的であるときは、"
変更後の定型約款について合意があったものとみなされ、個別の合意は必要ないとされています
最後に
民法改正までのカウントダウンは確実に近づいています。
民法改正への対応に不安の方は、お近くの弁護士や行政書士などの
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